【プロが解説】玄関を通風ドアにして後悔する人・しない人。デメリットの正体と「風を通す」絶対条件

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「玄関の靴のニオイが気になる」「梅雨時のジメジメした空気を入れ替えたい」 そう考えて玄関のリフォームを検討する際、真っ先に候補に上がるのが「通風(採風)機能付き玄関ドア」です。

しかし、同時にこんな不安もよぎりませんか? 「網戸部分から泥棒に入られない?」 「冬場、隙間風が入って寒くなるんじゃない?」

結論から申し上げますと、現在の主要メーカー(LIXILやYKK APなど)の通風ドアは、昔の勝手口ドアとは比べ物にならないほど進化しており、以前のものと比べるとセキュリティや断熱性の不安はかなり解消されています。

ただ、それでも「構造上の弱点」や「知っておかないと効果が出ない使い方」は存在します。 この記事では、サッシ屋として数多くの現場を見てきた私が、カタログには小さくしか書かれていない「リアルなデメリット」と、それを解消する「正しい選び方」を忖度なしで解説します。


よく言われる「通風ドアのデメリット」は誤解?プロが教える3つの真実

インターネットで検索すると、「通風ドアは寒い」「防犯性が低い」といったネガティブな情報が出てくることがあります。 しかし、その多くは「ひと昔前の製品」の話であったり、「仕様選びの勘違い」によるものです。

まずは、よくある3つの不安について、最新の技術動向を交えて解説します。

1. 【防犯性】「網戸を破って鍵を開けられる」心配は少ない

「ガラス部分(網戸)を破って、そこから手を入れられたら鍵を開けられてしまうのでは?」 これが最も多い懸念点ですが、現在の通風ドアに関しては、過度な心配は不要と言えます。

手が入らない構造になっています

最新の通風ドアは、そもそも人が腕を通せるような隙間が開かない構造になっています。

  • 開き幅の制限: 通風部分は縦に細長い形状が多く、開いても数センチ程度です。
  • 格子のガード: デザイン自体が格子状になっており、物理的に手が入るスペースがありません。
  • ロックの位置: 万が一、棒のようなものを差し込まれたとしても、サムターン(鍵のつまみ)までは距離があり、かつサムターン自体を取り外せる「セキュリティサムターン」機能が装備またはオプション選択できるモデルもあり安心です。

「絶対に安全」と言い切ることは防犯上できませんが、「わざわざ手間のかかる通風部分を狙うよりも、他の窓を狙うほうが早い」と空き巣に思わせるだけの十分な対策は施されています。

2. 【寒さ】「隙間風が入る」は昔の話

「通風口がある=穴が開いている」というイメージから、冬場の寒さを心配される方がいます。 確かに、断熱材がぎっしり詰まった「採風なしの高断熱ドア」と比較すれば、数値上の断熱性能(熱貫流率)はわずかに劣るケースがあります。

しかし、「隙間風で寒い」ということはまずありません。

気密パッキンの進化

通風部分を閉めれば、高性能なゴムパッキンがしっかりと密着し、気密性を保ちます。 今の通風ドアは、「断熱仕様(D2/D4仕様やk2/k4仕様など)」を選べば、ガラス部分には複層ガラス(ペアガラス)が使われています。

築20〜30年のアルミ製玄関ドア(単板ガラス)からリフォームする場合であれば、通風タイプを選んだとしても、「交換前より圧倒的に暖かい」と感じられるはずです。寒冷地でない限り、断熱性能について神経質になりすぎる必要がないと個人的には思います。

3. 【虫】網目の細かさは進化しているが「光」には注意

「網戸があっても、小さな虫が入ってくるのでは?」 これについては、メーカーも改良を重ねています。

例えばYKK APの「クリアネット」のように、従来の網戸よりも網目を細かく(24メッシュなど)し、かつ糸を細くして風通しを良くした網戸が採用されています。一般的な蚊やハエであれば、侵入は困難です。

それでも虫が入るケース

ただし、これだけは知っておいてください。「夜、玄関の電気をつけて通風にしておけば、虫は寄ってきます」。 虫は光に集まる習性があります。網目をすり抜けるような極小の虫(コバエなど)まで完全に防ぐことは、構造上難しいのが現実です。

これはドアの欠点というよりは自然の摂理ですので、「夜間は通風を閉める」「虫除けスプレーを網戸にかけておく」といった対策と併用することをおすすめします。

これだけは覚悟して!「本当のデメリット(注意点)」

防犯や寒さといった不安は技術の進歩で解消されつつありますが、それでも「物理的な構造」に由来するデメリットは存在します。 導入してから「こんなはずじゃなかった」と思わないよう、次の3点は事前に理解しておいてください。

デザインの選択肢が少し減る

通風ドアには、ガラス部分を開閉させるための「通風機構」や「網戸」をドア本体に組み込む必要があります。そのため、デザインの自由度は通常のドアに比べるとどうしても制限されます。

例えば、重厚感のある鋳物飾りを全面にあしらったデザインや、ガラス面が全くない完全なフラットデザインなどは、通風タイプでは選べないことがあります。 とはいえ、最近はLIXILの「リシェント」もYKK APの「ドアリモ」も、木目調からアルミ色までバリエーションを増やしており、「気に入るデザインが全くない」というケースは稀になってきました。カタログを見る際は、まず「通風タイプ」のページから絞り込んで探すのが効率的です。

網戸の「ホコリ掃除」からは逃げられない

風が通るということは、同時に「砂埃」や「排気ガス」も網戸を通過するということです。 長く使っていると、網戸の目はどうしても黒ずんで目詰まりしてきます。これを放置すると、風通しが悪くなるだけでなく、見た目も悪くなってしまいます。

「掃除は必要」と割り切る必要がありますが、今の製品はメンテナンス性が向上しています。商品により、 昔の勝手口ドアのように、外に出て水をかける作業も不要です。多くの製品は、室内側からドアを開けずに、または室内側の化粧パネルを開けて、網戸を拭き掃除できる構造になっています。 メーカーやデザインによって「網戸が取り外せるタイプ」と「固定式で拭き掃除するタイプ」がありますので、掃除のしやすさを重視する方は、選定時に確認しておくと良いでしょう。

価格は高くなる

当然ながら、通風機構という複雑な部品が増える分、通常の採風なしドア(断熱仕様)と比較すると、価格は高くなる傾向があります。 定価ベースで言えば数万円の差ですが、これを「高い」と捉えるか、「必要経費」と捉えるかが判断の分かれ目です。

「エアコンをつける期間が1ヶ月減るかもしれない」「玄関の靴のニオイが消える」といった生活の質の向上に対し、その差額を投資できるかどうか。ここをご家族でよく相談してみてください。

【重要】つけても「涼しくない」と嘆く人の共通点

実は、通風ドアのリフォームで最も後悔が多いのは、製品の欠点ではなく「使い方の勘違い」によるものです。 「高いお金を出して通風ドアにしたのに、全然風が入ってこない!」 そう嘆く方には、ある共通点があります。それは「風の出口を作っていない」ことです。

風には「入口」と「出口」が必要です

空気の流れは、水筒の水と同じです。入口(玄関)だけを開けても、出口が塞がっていれば、新しい空気は入ってきません。 玄関の通風機構を開けたときは、必ず以下のどこかを開けて「風の通り道」を作ってください。

リビングの窓 2階の廊下の窓 勝手口

特におすすめなのが「2階の窓」を開けることです。 暖かい空気は上に昇る性質があります(煙突効果)。2階の窓を出口にし、1階の玄関を入口にすることで、家全体の空気が効率よく循環し、こもった熱気を排出できます。

間取りとの相性をチェック

お住まいの間取りによっても、効果は変わります。 「玄関から廊下が一直線に伸びていて、その先にリビングドアや窓がある」という間取りなら、通風ドアの効果は絶大です。 一方で、「玄関ホールが独立していて、各部屋のドアを閉め切っている」という場合は、玄関だけ空気が入れ替わって終わり、ということになりかねません。

リフォームを依頼する際は、業者に家の間取りを見てもらい、「どこを開ければ風が抜けるか」のアドバイスをもらっておくと安心です。

【徹底比較】LIXIL「リシェント」vs YKK AP「ドアリモ」

これからリフォームをするなら、人気を分けるのは、LIXILの「リシェント」か、YKK APの「ドアリモ」になります。 どちらも日本を代表するサッシメーカーであり、基本性能(断熱・防犯)に大きな差はありません。しかし、プロの視点で見ると細かな違いがあります。 どちらを選ぶべきか迷っている方のために、それぞれの特徴を解説します。

操作性と網戸のYKK AP

YKK APの通風ドア(ドアリモ)の特徴は、使い勝手の良さにあります。 特に評価が高いのが、パート1でも触れた網戸の「クリアネット」です。糸が細いため、網戸ごしでも景色がクリアに見え、風の通りも従来品より約2割アップしています。 また、通風部分の開閉操作も直感的で軽く、毎日頻繁に開け閉めしたい方にとってはストレスが少ない設計になっています。「内開き通風」という、ドアを閉めたまま室内側の窓を内側に開くタイプもラインナップされており、掃除のしやすさでも人気があります。

デザインと機構のLIXIL

LIXIL(リシェント)は、デザインの美しさと機構のスマートさに定評があります。 特に「縦すべり出し」タイプの採風窓は、外観を損なわないスタイリッシュなデザインが多く、洋風から和モダンまで幅広い住宅にマッチします。 防犯面でも、格子部分に強固なロック機構を採用しており、見た目の美しさとセキュリティを高い次元で両立させています。ハンドルのデザインバリエーションも豊富なので、「玄関の顔」としての見た目にこだわりたい方には選ぶ楽しさがあるでしょう。

結局、どちらを選ぶべき?

結論としては、「自宅の外観に合うデザインがある方」を選んで間違いありません。 機能面での優劣はほとんどなく、どちらを選んでも後悔することはないレベルに仕上がっています。 カタログを見比べて、「この木目が好き」「このハンドルの形が好き」といった直感で決めてしまっても大丈夫です。もし迷ったら、施工業者に両方の見積もりを出してもらい、価格で決めるのも一つの賢い方法です。

まとめ:玄関は「家の呼吸口」。通風ドアは生活の質を変える

ここまで、通風ドアのデメリットとその対策について解説してきました。

防犯性や寒さといった不安要素は、技術の進化によって過去のものとなりつつあります。 もちろん、多少の価格アップや網戸掃除の手間といったデメリットはありますが、それ以上に「玄関の空気が常にきれいであること」の価値は計り知れません。

靴のニオイがこもらない ジメジメしたカビの不安がない 帰宅した時に、家の中が爽やか

これらは、日々の生活の質を確実に上げてくれます。 玄関は、家族が毎日通り、家の空気を入れ替えるための「呼吸口」です。ぜひ、ご自宅にぴったりの通風ドアを選んで、風通しの良い快適な暮らしを手に入れてください。

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